教育課程の特色
高い水準の学びの実現
本学科は、1学年の定員50名に対して学科の専任教員は11名という比率で構成されています。しかも、教員の専門分野は国文学科の学びに必要な諸分野を幅広くかつ手厚く覆っています。全国的に見てもごくまれな、理想的な少人数制教育の場です。細やかな指導によって充実した国文学科の学びを実現しています。
国文学科の学びは一般に、世界的にもすぐれた水準にある日本文学研究の成果を受け、理知的な思考力や表現力をしっかりと磨き上げることができるものとなっています。また、私たちが今生きているこの日本の身近なことばであるというメリットをいかし、本学科のカリキュラムとしても、早い段階から、演習形式の授業を通し、研究対象とじかに向き合って問題を考える、大学らしい水準の研究の実践を行なっています。
国語が好きな人、文学あるいはことばそのものが好きな人、あるいはそれらに何かしらの疑問や関心を抱いている人が、存分にさまざまな方向に自分の力を伸ばしてゆくことができる学科です。以下、教育内容の概要を紹介します。
専門形成に向けての段階的な学び
1年次の後期に「日本語日本文学基礎演習」があり、研究の初歩を学びながら、みずから調べ、考え、発表するという経験をします。また、2年次になるとさまざまな専門分野の中から一つの演習を選択し、より本格的に研究の実践を試みます。これら演習系諸科目は国文学科の学びの根幹にあるものです。この間、教養教育科目の「日本語文章表現」や「日本語表現プログラム」等において、日本語を読み、書き、考えるための、基礎的な力を養い、「日本語学概論」「日本文学概論」「中国文学概論」(1年次必修)といった概論系の授業によって各分野の基礎的な知識を身につけることができます。2年次以降は演習だけでなく講義系の諸科目もさらに専門的な内容のものを履修することができるようになります。このように、学びの内容は段階的に構成されており、徐々に専門の学びへと導いていく科目編成となっています。
教養教育科目の「日本語表現プログラム」中の諸科目は、全学共通で履修することができるものですが、国文学科では履修すべき科目として他学科よりも高い比重を置いています。その内容は、「現代若者ことば」「日本語と文化」「外国語としての日本語」「漢字の世界」など。国文学科の学生は、かならずこのプログラムの中からいくつかの科目を選択して履修することになっています。古い和書のくずし字を読む「変体仮名の解読」、高校の古文から大学の古典文学研究への橋渡しをする「古文読解法」など、専門基礎に相当するような科目も含まれています。
2年次以降の専門教育
2年次以降の演習は2?3年生が入り混じって行なわれます。先輩?後輩のいる中での発表や質疑応答は1年次の基礎演習以上に実りや張合いのあるものです。また、2年次以降履修できるようになる、「○○講義」や「○○文学講義講読」、「○○文学史」、「○○特講」といった専門科目は、日本語学?日本文学?中国文学?日本語教育学の諸分野にわたって深い専門知識を得、視野を広げるためのものです。たとえば、「上代文学史」「中古文学史」等の文学史系諸科目で日本文学史の知識を深め、「近世文学講義講読」「中国文学講義講読」等の講義講読系諸科目で文学作品の読み解き方を学びます。「日本語現代文法講義」「日本語古典文法講義」「日本語音声学講義」「方言地理学講義」等のように日本語の仕組みや成り立ちを学ぶ諸科目、「日本語教育学講義」等のように日本語教育の現状や方法を学ぶ諸科目もあります。これらすべての学びを土台として、4年次にはみずからの研究の集大成として卒業論文に取り組みます。
国文学科では、こうした学びを通して、研究対象とみずから向かいあって問題を発見し、さまざまな資料を調査?検討し、他者に誤解なく伝わるように表現できる力、すなわち、みずから「読み」「調べ」「考え」「表現する」力を培います。
本学科への入学を希望する皆さんへ
私たちのことば、日本語は、身近なことばではありますが、磨くことを怠っていては磨けないものです。その高みも計り知れません。また、ことばは人間の知性の中心にあり、かつ感受性とも深く関わり、さまざまな思考力?表現力の土台となり、他者との対話の基盤となるものです。
日本の文化を支えてきた日本のことば、そしてそのことばの豊かな達成である日本の文学、それらと歴史上深く関わり続けてきた中国文学(漢文学)、そして世界の視点から日本語のあり方を考える日本語教育。これら研究対象の豊饒さに触れ、みずからの足元をみつめると同時に、発見したものを他者に伝え、他者とともに生きてゆく力を培う――国文学科で学ぶものの意義は、社会が複雑化すればするほど、重要性を増してゆくことでしょう。
国文学科の学びは、あらゆる事象に自分自身で対峙することができる力の獲得をめざします。ここで得た力は、大学を卒業して広い世界に出てゆく皆さんにとって、人生を支える力強い基盤となることでしょう